第17章 壁外調査
……俺が弱気になってどうする!
マヤは今、意識のはざまを漂いながら戦っているんだ。
必ず戻ってくると俺が信じてやらなくてどうする。
リヴァイはそう強く、心を奮い立たせた。
そうして夜は無情にも更けていく。
握りしめたマヤの左手は冷たく、顔色も悪い。
何時間も顔を見つめ、手を握り、ひたすら意識が戻るのを待ちつづけた。
「マヤ…、いい加減に起きろよ…」
ずっと祈りつづけていたが、こうして声に出せば届くだろうか。
しかしマヤの様子に何も変化は見られない。
息が苦しくなる。
胸が張り裂けそうで、マヤの顔を見ることができない。
リヴァイはマヤの左手を両手で包むようにして握ったまま、うなだれた。
無意識のうちに想いがつぶやきとなる。
「マヤ…」
低くて静かでいて… 少し苦しそうで。
「俺は誓ったんだ…。必ずお前を守ると… 誓った…」
今はこうして何もできずに、ただ手を握るだけ。
「マヤ…」
うなだれたまま待つだけしかできない自分の不甲斐なさに震える中、ただ時間だけが音もなく残酷に過ぎていく。
と、そのとき。
………!
かすかにマヤの左手に温かみを感じた。
はっと息をのみ顔を上げたリヴァイは、マヤの顔をまじろぎもせずに見つめる。
頬にわずかだが確かに赤みがさしていた。
まぶたがぴくりと動いた、一度だけだが間違いない。
握る両手に思わず力がこもる。
「マヤ!」
長いまつ毛が頬に落としている影は、金色のランプの灯りにより一層際立っている。