第17章 壁外調査
「え!? マヤ、なんだい!?」
ハンジが叫ぶのと、
「ガウァウアァァァ!」
巨人が咆哮を上げながら、突如上半身を回転させたのが同時だった。
「来ます!」
仰向けになった巨人が腕を伸ばしてくるのをいち早く感知したマヤは、警戒を発しながらアンカーを巨人の腹に突き刺しガスを噴出した。
「ギウァウゥゥゥ!」
マヤを掴み損ねた巨人が呻く。
「マヤ!」
「ハンジさん! 逃げてください!」
ワイヤーで限界まで上空に飛んだマヤは、これからどこを支点にすれば良いか冷静に考える。
巨人の手は自身の股間のあたりで、ひらいたり閉じたりしていた。
……顔だわ!
瞬時に判断しワイヤーを巻き取ると、顔を目掛けてアンカーを射出した。
グサッ!
……よしっ! あごに刺さった!
あとはガスを噴かして、できるだけ遠くに…。
マヤがそう考えたとき。
ガクン!
自身の想定していた重力とは全く違う方向… つまりは水平に強烈な力で引っ張られた。
巨人がマヤに伸ばした腕が、ワイヤーに引っ掛かったのだ。
「きゃっ!」
小さく叫んだマヤの身体は弾かれ、偶然か否か巨人の手のひらに入ってしまった。
「ガウァウガァァァ!」
そのことに気づいた巨人は、自身の手のひらに飛びこむような形で入ってきたマヤを掴んだ。
「きゃぁぁぁぁ!」
「マヤ!!!」
マヤとハンジの悲鳴が響く。