第17章 壁外調査
「兵長! 巨人です!」
叫ぶエルドの方を向き、すかさず指示を出すリヴァイ。
「エルド、お前はグンタと遺体を村に運べ。タゾロ、オルオ、ペトラは俺と来い!」
「「「了解です!」」」
信煙弾の方向へ馬速を上げて進むリヴァイに、つづくタゾロ、オルオにペトラ。
それを見送りながらエルドはつぶやいた。
「……ご武運を」
そして遺体を乗せた荷馬車をひくグンタを振り返った。
「村まではあと少しだ!」
「おぅ!」
現場へ急行するリヴァイたち。オルオが叫ぶ。
「村の外じゃねぇか?」
「そりゃ外でしょうよ! 外じゃないと大問題でしょ!」
ペトラの怒号など全く意に介さずつづける。
「まぁ村の中だろうが外だろうが、俺たちが駆けつければ巨人も終わりだよな!」
「いい加減黙りなさいよ! また舌を噛むわよ!」
それまで黙っていたタゾロが叫んだ。
「あそこだ!」
指さす前方に、かすかに何かが見える。
「巨人… か?」
その背丈の低さに疑問形が口をついて出るが、その間にも馬はものすごい速度で目標に近づいていく。
「巨人が倒れているぞ!」「もう倒したあとか!?」
タゾロとオルオが同時に叫んだが、リヴァイの冷静な声が打ち消した。
「よく見ろお前ら。ヤツは生きている」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに巨人の叫び声が響いた。
「ガウァウアァァァ!」
そして突如、前のめりに倒れていた上半身を回転させた。そして自身の足先あたりに向けて両腕を伸ばした。
「なんだ!?」
オルオの問いに、ペトラが絶叫で答えた。
「誰かが飛んでる!」
誰かまでは判別できないが、瞬時にその巨人の肉体を支点にして立体機動で跳躍して伸ばされた腕から逃れた。
「……チッ」
リヴァイは舌打ちすると、手綱を強く握った。
「急げ! すぐに殺るぞ!」