第17章 壁外調査
巨人の肩に向けて射出したアンカーがグサッと突き刺さると、マヤはアルテミスの背を蹴って立体機動装置のガスを噴かし宙を飛んだ。
飛びながら巨人の顔に信煙弾を発射する。
パン! ドォォォォォ!
「グゥアァァァァァァァ!」
信煙弾を受けた巨人は大きな叫び声を上げ、顔を覆った。
「ごめんね! ちょっと斬らせてもらうからね!」
ザクリッ!
巨人の腰にアンカーを突き刺し飛んでいたハンジが、そう叫ぶなり巨人のアキレス腱を削ぎ切った。
ドォォォォォォォォン!
その振動と轟音が響いた瞬間にマヤは、ワイヤーを巻き取り着地を試みた。
片膝をついて前のめりに倒れこんだ巨人から少し離れたところに無事に着地し、ハンジを探す。
巨人が倒れたことによって巻き上がった砂埃でよく見えない。
「ハンジさん!」
「マヤ~!」
姿は見えないが声はする。
「治る前に斬るよ! 来てくれ!」
「はい!」
マヤは巨人の背後へ走った。アルテミスが心配そうな様子で駆け寄ってくるのが見える。
「アルテミス! 危ないから来ないで!」
巨人は馬を襲わない。
それは頭では理解しているが、襲わなくても暴れた巨人の肉体が直撃するかもしれない。
マヤは叫ばずにはいられなかった。
その気持ちが通じたのかアルテミスはぴたりと足を止めた。
「そう、いい子ね! そこで待ってて!」
愛馬に微笑むと、急いでハンジのそばへ行く。
シュウゥゥゥゥ! ザクリッ!
奇怪な音がする現場へ到着したマヤは、修復する足を斬りつづけているハンジの姿を見た。