第17章 壁外調査
「了解!」
マヤは即答したものの、叫び返した。
「でもハンジさん! このまま走りつづけたら村からどんどん離れてしまって、モブリットさんたちが追いつけないんじゃ!?」
「あはは! そうだね! さすがマヤ!」
面白そうに笑うハンジは、手を伸ばした巨人をすんでのところでかわした。
「おっと! 今のは惜しかったねぇ!」
「ハンジさん!」
心配するマヤをそっちのけで実に楽しそうにしている。
「いや~、楽しいねぇ! 私も君ともっと追いかけっこをしていたいんだけどね…、そういう訳にもいかないんだ」
振り向いて巨人に話しかけていたハンジは、マヤに指示を出した。
「よし! じゃあ足止めするよ!」
「え!?」
「マヤはこの子の気をひいてくれ! 私が脚を切断する!」
「いやでもハンジさん! それじゃすぐに…!」
「わかってる! 修復する前にまた斬るだけさ!」
カチャ! パン! ドォォォォォ!
ハンジはモブリットたちに居場所を示す目的で赤色の信煙弾を撃つと、叫んだ。
「マヤ!」
その叫びが遠くに聞こえる気がした。
もう何がなんだか状況の理解が追いつかない。数メートル後ろから6メートル級の巨人に追われながら、決定された作戦は今、この場で足止めをすること。おとりになって巨人の注意を逸らし、ハンジさんが脚を切断する。モブリットさんやミケ分隊長が応援に駆けつけるまで脚を切断しつづけて、この場に釘づけに…!
……そんな無茶ができるの?
でも信煙弾は放たれた。
今ここで、やるしかない! 迷っている暇なんかない!
マヤは瞬時にアルテミスの上に立つと、バランスを取りながら背後の巨人への間合いを確認する。
……今だ!