第17章 壁外調査
マヤの方に顔を向けたハンジの眼鏡がギラギラと光っている。
「これはチャンスだよ! 単独行動の巨人が向こうからお出ましなんだ。捕獲してくれと言ってるようなものじゃないか!!」
「でも! 捕獲任務は明日ですよね!?」
「怖気づいたのかい!? マヤ!!」
怒鳴りながらハンジはプロメテウスに飛び乗った。
「怖気づいてなんかいません!」
「マヤ、立体機動装置は!?」
反射的に少し離れたところに置いたそれを指さす。馬の世話に邪魔なので外したのだ。
「先に行ってあの子を村から離す! 早く装着して来てくれ!」
「ハンジさん!」
とっくにハンジは走り出していた。
「もうどうなっても知らないから!」
マヤは立体機動装置をつけ、アルテミスのところまで走った。
「アルテミス! 行くわよ!」
ヒヒーン! ブヒヒヒーン!
マヤのただならぬ様子にアルテミスは前脚を上げていななくと、全速力で駆け出した。
前を行くハンジは、村に一直線に向かってきていた巨人を誘導しようとしている。
「よーし、いい子だ! こっちだよ~! そう、その調子!」
見事に巨人の気を引くことに成功し、村とは離れた方向へ駆けていく。それを見たマヤは、最短距離で追いつくためにアルテミスの馬首を斜め左に向けた。
「やっほ~い! こっちこっち~!」
巨人に掴まれそうで掴まれない絶妙な距離を保ちながら走っているハンジのテンションは、最高潮に達している。
「ハンジさん!」
プロメテウスにアルテミスを並走させると、マヤは叫んだ。
「マヤ! 来たね!!」
「はい! 私はどうしたら…!?」
「このままモブリットたちが捕獲網を持ってくるまで時間稼ぎするよ!」