第16章 前夜は月夜の図書室で
「この樽に仕込んだ鉄の筒の中には、今は小型の捕獲網を詰めてあるんだが…」
ぽんぽんと樽を叩きながら説明する。
「本気で15m級を狙うには、きっと網では駄目だ。馬力が体の大きさに比例して爆発的に強くなっているはずだからね。網なんて恐らく、15m級が全身の筋肉にぐっと力をこめただけで破られてしまうと推察される。そこでだ、網に代わる拘束手段を研究しているところなんだ」
そのつづきはモブリットが引き受ける。
「網をかぶせていたところを、たとえばワイヤーで雁字搦めにするとか…。あるいは大量の榴弾を命中させてひるんだところを全身に槍状のものを刺して拘束するとか…」
「そう、今モブリットが言った方法を試行錯誤している。この鉄の筒の中にワイヤーないしは槍状の拘束武器を仕込んで、一気に巨人に発射できれば成功するのではないかと考えているところなんだ。他に効率的な方法があればすぐにでも検討する。マヤ、何か良い案はあるかい?」
「えっ、いえ! 全く何も浮かんでません。すみません…」
「いやいや、謝ることはないよ。何か名案が浮かんだら24時間いつでも受けつけているから頼んだよ。ところで他に訊きたいことはあるかい?」
ハンジに問われてマヤはあごに手をかけ、うーんと考えてみる。
「そうですね…。その鉄の筒からワイヤーか槍状の武器か、あるいはまだ考案されていないもっと効率的な何かを巨人に向けて一斉に大量発射したいってことですよね…?」
「うん、そう! さすがマヤ、のみこみが早いね」
「今の捕獲網は立体機動装置のワイヤー射出を応用してたけど、この… えっと 名前なんでしたっけ?」
ハンジは大声で答える。
「対特定目標拘束兵器(仮)!」
「この… 対特定目標拘束兵器かっこかりも同じ仕組みなんですか?」