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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第27章 翔ぶ


レイの機嫌を損ねてしまったとマヤは心配になる。

……ハンサムだから王子様だなんて、よく考えたらすごくひどいことを言ってしまった。

レイさんが “王子だとか顔がどうとかどうでもいい” と怒るのも当然だわ…。

「あの…、失礼なことを言いました。ごめんなさい」

怒っていた訳ではないレイは、謝るマヤに焦る。

「いや、怒っちゃいねぇ。紅茶を飲みてぇだけだ」

そして店内に備えつけられている紅褐色の光沢が美しいマホガニーのカウンターにある卓上ベルを、急いでチン! と鳴らした。

すぐに奥に通じる木の扉からリックが現れた。

「紅茶を飲ませてくれ」

「かしこまりました。当店はお気に召したティーカップをお選びいただけますが…」

マヤとレイはそれぞれカップを選び、奥の部屋へといざなわれる。

白く広い空間にさりげなく配置されている三卓のテーブルとチェアのセット。

「あらためて、いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」

他に誰も客はおらず、やはり一番落ち着くであろう最奥の窓際の席に案内された。

……兵長と来たときも、この席だったわ。

懐かしく思いながら着席する。

そしてリックが差し出したメニューブックから、マヤは季節限定 “夏のニルギリ、葡萄の紅茶” とスコーン、レイはオリジナルブレンドを注文した。

リックが厨房に下がると、レイが開口一番。

「葡萄の紅茶…?」

「大粒の葡萄をスライスしたものをティーカップに入れて、ニルギリを注ぐとふわっと夏の香りがして美味しいんですよ」

「へぇ…。さすが紅茶屋の娘だな。アレンジティーのことはオレにはさっぱりわからん」

レイはマヤを褒めたあと、ふと壁に飾られている大きな油絵に気がついた。

……紅茶専門店だけあって、飾ってる絵も茶摘みの風景か。

オレの知るリックは仕事が丁寧で、細部にもこだわる男だったが、やはりこの店も彼らしいな…。

絵の題材のセレクトに内心で感心しながら、すみずみまで眺めてついには画家のサインに目がいく。

そしてすぐにその翡翠の瞳を見開いた。

「おい! これカインの野郎の絵じゃねぇか!」


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