第26章 翡翠の誘惑
「……五日間の滞在を要求してきているが、これは拒否せねばならないだろうな。私とリヴァイが会議や夜会に出るときでも一泊、長いときで二泊がせいぜいなのに、四泊は長すぎる。資金集めの名目で任務として行かせる以上、一泊が限界だな」
「賛成だ。マヤたちはついこのあいだ王都に行ったばかりだし、他の兵士にも示しがつかない」
ミケがいち早く同意する。
「あぁ、だからレイモンド卿には三人は出席させるが一泊で… と返答しようと思う。それでいいな?」
この “それでいいな?” は、当然ここにいる全員が賛同して、全くなんの問題もなく会議が終了するつもりでの言葉だった。
その証拠に一刻も早く食堂に行きたいラドクリフの腰は、半分浮き上がっている。
「……全然よくねぇな」
声のした方を見れば、気難しそうな様子で腕組みをして机の上の一点を睨みつけていたリヴァイが、顔を上げている。
「何がよくない。まさかレイモンド卿の要求どおりに四泊五日でもさせるつもりなのか?」
エルヴィンはそう問いながらも、リヴァイの気に食わないポイントはそこではないだろうなと薄々気がついている。
……どうせマヤの身を案じてのことだろうな…。
「そこじゃねぇ。クソガキだけで王都に行かせるなんて無茶にもほどがある」
……やっぱりな。
エルヴィンは読みが当たったことに心の中で密かにほくそ笑みながら、顔には全く出さずに対応した。
「レイモンド卿の条件がマヤたち三人でというからには、調査兵団からは三人だ。恐らく彼は何か理由があって私やお前に来てほしくないから、わざわざ三人でと指定してきているはずだ。しかし三人ともまだ二年目の一般兵士ではあるし、守役をナイルに頼もうと考えている。それで問題はないだろう?」