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stride‼︎

第9章 バースディ


「うー…。お腹いっぱい…。
おいしすぎて食べすぎた…。」

片付けした後、ソファの背もたれに背を預けて倒れ込む。
特に、やっぱり、あのカリカリふわふわのフランスパンとの相性は、太るってわかってても最高だった。

「大丈夫?ゆめ。」
日々人が隣に座ってわたしを覗き込む。

「うん、大丈夫。
ほんとおいしかったよ。ありがとう!日々人。」

「喜んでもらえてよかった。
でもなんか、誕生日なのにダラダラになっちゃってゴメンな。
出かけたかった?」
「ううん。普段なかなかこんなゆっくり2人で過ごせないから、新鮮だし、嬉しい。
それに夜は特別だし!」

そう。今日は誕生日だからと、小洒落たレストランを日々人が予約してくれたのだ。
ベタだけど、すごく嬉しいし、楽しみだ。

「なら、よかった。」

肩が触れ合う距離で並んで座るソファ。
向かい合わせで食べるごはん。
一緒に眠るベッド。
来年からしばらくなくなってしまう、かけがえのないものたち。
大切にしよう。今を。1日1日を。

ぎゅっと日々人に抱きつく。
「何?どした?」
いきなりでびっくりしてるけど、そっと肩を抱いてくれる。
温かい、大きな、大好きな日々人の手。
「大好きだよ。日々人。」
普段はなかなか言えないことも、今日はちゃんと目を見て伝える。
日々人も「なんか、照れるな。」と言いながらも、「大好き。」と言っておでこにキスしてくれる。


朝が遅かったこともあり、すぐに夕方になってしまった。
といっても、この季節はモスクワでも9時ごろまで明るいので、まだまだ外は昼間みたいだ。

少し早いけど、散歩しながらレストランに向かうことにする。
2人ともいつもより、少しだけおめかししていて、いつもと違う雰囲気に、気分が高揚してしまう。

少し触れた日々人の手。
指をからめると、微笑んで、ぎゅっと握ってくれる。
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