第6章 デート デイ
「うん、かわいい…。」
「えへへ。」
と日々人の方を振り向くと、日々人がわたしから目をそらす。
不思議に思って見つめると、手で口を覆ってさらに横を向く。
「……。今、見ないで。」
さらに、顔を両手で覆ってしまう。
「え?なんで??」
訳がわからなくてかがんで日々人の手を顔から剥がすと、覗き込むわたしからまた目を逸らして日々人が言う。
「35にもなって嫉妬とか笑えないでしょ…。
恥ずかしすぎる…。」
だから見ないで、と消えそうな声で日々人が言う。
「嫉妬…?ってえ??ディミトリーに??」
「うん…。ゆめをあんなに笑顔にして…。ずりーなって。思って…。」
わたしの視線から逃れようと赤い顔で目を逸らす日々人がかわいくて、首に手を巻きつけて日々人の頰にキスする。
「嫉妬してくれて、嬉しいんですけど。」
「………うん。」
「好き。」
「…うん。」
やっと日々人と目が合う。
嬉しくて日々人に抱きつくと、耳元でひそひそ声で告白する。
「ちなみにディミトリーはゲイで恋人もいるし、大丈夫。」
面食らった顔で「えっ!?あっ、そっ…か。」
と言う日々人がおかしくてまた笑う。
今日買ったたくさんの荷物にもらったスカートも入れて、家に向かって歩き出す。
少しずつ日が傾いて、いつの間にか空がオレンジに染まっている。
「初めて公園で話した時も夕焼けの道一緒に歩いたよね。」
「うん。離れたくなくて、何か繋ぎ止めれるものないかなって俺、必死で考えてた。」
「えぇ!?そんなこと思ってくれてたの?
ふふ、わたしも帰りたく無いって思ってたよ。」
日々人の思いがけない告白に頰が緩む。
その時わたしのお腹がぐぅ、と鳴った。
「ぷっ、今腹鳴ったでしょ。」
うう、恥ずかしい。。
「う、だってお腹空いたんだもん…。」
「腹減ったね。夜、何しよう…。」
「んー…、簡単にできるし温まるし、シチューどうかな??」
「おっ!いいね。
鶏肉あるしブロッコリー、玉ねぎ、人参、ジャガイモ…全部あるわ!」
「おおー!じゃあ決定だね!」
「あっでも肝心のルーがない…。」
「小麦粉と牛乳とコンソメあれば案外簡単にできるよ。」
「うお、ゆめすげー!」
「前に炒めるとこまでやってルーが無いのに気づいたことがあって、ネットで調べたの。」
「はは。じゃあ決定!
帰ろっか。」
