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stride‼︎

第1章 出会いはいつも突然に


私はそれを丁寧にラッピングする。

「なんでロシアで働いてるの?」
南波さんが何気なく質問する。

「学生の時、一年間ロシアに留学したんです。
そのときにロシアが大好きになって、勢いでこっちに来ちゃいました。」
「えっ!?勢いで??すごいね。」
南波さんが驚く。

「えへへ、夢だったんです。世界に出て働くのが。」

「そうなんだ、夢叶ったんだね。」
南波さんが微笑む。

「はい!でもまだ途中です。
最終的には、自分のお店を持ちたくて。
今は勉強と軍資金集め中です。」

「へぇー。」

ラッピングが終わって、紙袋に入れてお会計をする。

「じゃあね。ゆめちゃん。
久しぶりに日本語で喋れたし楽しかった。」

「あっあの!また会ってもらえますか??」

商品を受け取り店から出ていこうとする南波さんに自分でもビックリすることを言ってしまう。

「えっ??」

南波さんがビックリした顔になる。
そりゃそうだ。
私は言い訳をするように続ける。

「な、なんか日本語久しぶりに喋ったら日本が恋しくなっちゃって…。」
「あはは!わかる!
うん、いいよ。じゃあ…」

私は急いで自分のメアドを店のメモに書いて渡す。

「これ、私のメアドです。」

いきなりすぎるかなと思ったけど、
「ん、じゃあまた俺のをここに送るね。」
とあっさり受け取ってくれる。

なんか、大胆なことをしてしまった…。



夜の7時になり、閉店の看板をドアに掛け、レジを閉めて閉店の作業をする。
明日は水曜日でお店の定休日。
明後日のことを確認したあと、ディミトリーがニヤリとしながら聞いてくる。

「今日、あの日本人の彼とうまくいった??」
「えっ!えっ!?」
私はいきなりの言葉になんて返していいかわからなくなってしまう。

「ゆめの顔に彼が好きだって書いてあったよ。」

一気に顔が赤くなってしまう。
ディミトリーは本当に、そういう勘が鋭い。

「そっそんなことないです!
今日初めて会ったばっかだし…。
それに彼はかなり有名な宇宙飛行士だから、私とは世界が違います!」

「へー、彼宇宙飛行士なんだ。
でもゆめ、恋はいつでも突然に、だよ。
そんなんだと、せっかくのチャンスを逃しちゃうよ。
これだ!と思ったら突っ走らなきゃ。」

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