第5章 火事
そうっと日々人を見ると、少しビックリした、でもドキリとするほど男の顔で…。
「…そのカッコでそれは反則でしょ…。」
ボソリと呟くと、腕を引っ張られて日々人の上に倒れこむ。
頭を引き寄せられ、噛み付くようなキスをする。
もっと深く。お互い求めるように舌を絡める。
「体、しんどかったら、すぐ言って…。」
「うん…。」
愛おしむように日々人がわたしの手に、髪に、すべてに触れていく。
ただただ甘くて熱い感覚に溺れていく。
「日々人、好き、大好き…。」
幸せで、幸せで、胸が苦しくなって涙が頬を伝っていく。
日々人がその涙を指で拭ってくれる。
「俺も…ゆめが好きだよ…。」
肩に温もりを感じて目が覚めると、となりには小さな寝息をたてて眠るゆめ。
布団から出た薄くて白い肩に布団をかけ直してやる。
おでこに手を当てるともう熱くなくて、ほっとする。
昨日、あの後意識を失うみたいに眠ってしまったゆめに、無理をさせてしまったんじゃないかと心配していたのだ。
我慢できなかった自分に呆れたりもした。
……、いやでもあんな可愛いことされたらムリでしょ…。
昨日のゆめを思い出し熱くなる体から意識を逸らし、シャワーを浴びようと、ゆめを起こさないようにそーっとベッドから抜け出す。
チラリとゆめを見るとまだ目覚める気配はない。
化粧をしていないあどけない寝顔にキスをして部屋を後にする。
目覚めると、いつもと違う天井。
少し気だるい体を反転させうつ伏せになる。
その時自分が何も身につけていないのに気づきバッと起き上がる。
昨日のことを思い出しカァっと顔が熱くなる。
そうだ。昨日日々人と初めてそういうことになって…。
なんだか色々と恥ずかしいことを言ってしまった気がする…。
枕にボフッと顔を埋める。
…日々人の顔見るの恥ずかしい。。
とりあえず着替えなきゃ。
でもソファでしたからか、昨日借りた服がなくて右往左往してしまう。
いや、パンツとか日々人に運ばれてたら余計やだから、いいんだけど.…。
迷いに迷って、ふとんを肩から巻きつけてすんごい変な格好だけどリビングに行くことにする。
ガチャっとドアを開けると日々人がキッチンで何か作っている。