• テキストサイズ

stride‼︎

第5章 火事


日々人が優しく微笑む。

作ってくれたおじやを半分食べて、ご馳走さまをする。
お腹が温まると、心も不思議なくらい落ち着いてきて、ふと疑問がわく。
「そういえば、日々人はなんで火事のことわかったの?」
「職場のやつがゆめのアパートの近くに住んでて教えてくれたんだ。
焦ったよ。ほんと、無事でよかった。」
日々人が近づいてきて、もう一度抱きしめてくれる。
「…心配かけてごめんね。」
血相を変えて息を切らして駆けつけてくれた日々人を思い出す。
「来てくれてありがとう。」
ぎゅうっとわたしも抱きしめ返す。
「うん。当たり前でしょ。」

よしよし、と頭を小さい子にするみたいに撫でられると、安心してしまって、なんだかトロンとしてきてしまう。

「ほら、ゆめ顔赤いよ。
今日はもう歯磨いて寝ちゃいなよ。
とりあえず俺の着替え貸すから。」
「何から何までありがとう。」
「うん。服ロンTとスウェットでいいよね。
デカイかもだけど…。」
クローゼットをゴソゴソして黒のロンTとグレーのスウェットを出してくれる。

流石にクレンジングはないので、とりあえず洗顔も借りて顔を洗って、着替えと歯磨きを済ませてリビングに戻る。
日々人は仕事の書類だろうか。
真剣な表情で何かを読んでいた。

「日々人ありがとう。」
書類から日々人が目を上げる。
「うん。明日もし熱引いてたら大家さんに連絡して、アパート見に行こう。
休みだし、俺も付き合うから。」
「いいの?ありがとう!」
ソファで寛いだ姿勢でいた日々人の頭に抱きつく。
「…ゆめさん、ノーブラでそれは俺の理性がもたない…。」
「!!!」
ばっと日々人から離れる。
そういえばTシャツ1枚しか着ていないんだった!
「ぷっ。ゆめ顔赤すぎ。
さすがに病人は襲わないから安心して。」
その一言に安心と同時に寂しさを感じてしまう。

「……、日々人はしたい?」
「そりゃ、俺も男ですから。」
日々人が困ったみたいに笑う。
「わたしも、日々人としたい…。」
いつも思ってた。
もっと触れてほしい。触れたい。
もっと近づいてほしい。近づきたい。
独り占めにしたい。

/ 76ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp