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stride‼︎

第4章 ムッタとヒビトとカイト


起こさないようにそうっと日々人の頰に触れる。
清潔なせっけんの匂いとアルコールの匂いが混じる日々人の匂いを吸い込む。
もともと若く見えるけど、目を瞑っているとさらに幼い感じがする。

少しチクチクする髪を優しく撫でると、日々人が目を少し開けて、ビクッと手をひっこめる。

「ごめん、起こしちゃった??」
小さな声で尋ねる。
「ん…。大丈夫。今何時?」
寝起きで少し掠れた声で目をこする日々人がなんだかかわいい。
近くにあった時計で時間を確かめる。
「んと…、朝の5時過ぎ。」
「そっか…。」
「ごめんね。わたしがベット占領しちゃったから…。
ベットで寝直す?」

質問には答えずに日々人がわたしを見つめる。
そして手を伸ばしてわたしの頭を引き寄せると、いきなり深いキスをする。

「……っ………!!」

びっくりしてされるがままになっていると、日々人の舌が入ってきて、思わず日々人の服を掴む。

「日々…、ん……。」

何か変な日々人にキスの合間に話しかけようとしても、まるでしゃべるなとでもいいたげに、また唇を塞がれてしまう。

ようやく唇が離れたときには、2人とも息が上がっていた。
日々人の目が熱を帯びて潤んでいてドキドキしてしまう。

「ゆめ、かいとって誰?」
少し怯えたような、でも真っ直ぐな目で日々人がわたしを見る。

「かいと…??そんな友達いないけど…。」
「寝言でそいつの名前言って笑ってた…。」
日々人が少し目線を逸らす。
わたしは急にピンとくる。

「ああ!カイトね。
実家にいたときに飼ってたゴールデンレトリバーの名前だよ。」
「へ…?犬??」
「うん、大好きだったんだけど、もうおじいちゃんだから連れてこれなかったんだ…。」
よく一緒に寝てたから…と言うゆめの声が遠くで聞こえる。

「っっっ!んだよもう!!」
パタリと日々人がソファに倒れこみ、チラリとわたしを見る。

「俺、すげーかっこ悪い。
昔の恋人かなとか勝手に想像して、嫉妬してた…。」
日々人が小さな声で言う。

「ええ!それは、ちょっと嬉しい…。」
拗ねたときの口を尖らせた表情で恨めしげに日々人がわたしを見る。
わたしは身を乗り出して慰めるようにちゅっと小さくキスをする。

すると、ぐっと手首を掴まれてソファの日々人の上に寝転がるように倒される。
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