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stride‼︎

第4章 ムッタとヒビトとカイト


急に眠気が来て、テーブルにつっぷす。

「あ、寝た…。」
「自由だなぁ…。」
ふたり顔を見合わせて笑う。
日々人が上着を肩にかけてやる。
「土日忙しかったみたいだし、疲れてたのかもね。」
ゆめちゃんを見つめる目が優しくて、弟の知らない一面を見てしまった気分になり、なぜか少し気まずい気分になる。

「ま、行くか。お前も明日仕事だろ。」
「うん。ムッちゃんも明日から訓練始まるの?」
「おう。
カウンターでタクシー頼んできてやるからちょっと待ってな。」
「ん、ありがとう。」

その間に自分の上着を着て、ゆめの上着を肩にかけ直す。

そこでムッちゃんが帰ってくる。
「すぐ来るって。」
「ありがと。あっお金…。」
財布を尻ポケットから抜く。
「いいよ。たまには兄らしくカッコよく奢らせろ。」
「あは、ありがとう。」
「…次はお前奢れ。」
「はいはい。」
ムッちゃんらしいやり取りに懐かさと共に笑ってしまう。

「タクシー着きましたよ。」
ウェイターが呼びに来てくれる。

ありがとうとお礼を言って立ち上がり、ゆめをおんぶする。
フワリとゆめの甘い髪の匂いが鼻をくすぐる。

「おい、日々人…。」
「なに?」
「…寝込み、襲うなよ。」
「襲わねーよ!!」

店の前で待っていたタクシーの後部座席にゆめを滑り込ませ、一緒に乗り込む。

「ムッちゃん、明日から頑張ってね。」
「おう、お前もな!」
「また、連絡する。」
そう言って、タクシーがパタンとしまり、動き出す。
…絶対連絡しないな。
そう思ってから、NASAの宿泊施設に向かって歩き出す。


どっちに行くか迷って自分のマンションの住所を運転手に伝える。
ゆめのアパートの鍵を鞄から探していいか迷うし、明日ゆめは仕事休みだから、朝まで寝てしまっても困らないだろう。

代金を支払い、ゆめを負ぶってエレベーターへ向かう。
耳元をゆめの寝息がくすぐる。
柔らかな体が無防備に背中にもたれかかる。
「…ん、日々人…。」
クフリと笑いながらゆめが寝言を言う。

「……。」
ムッちゃんにはああ言ったけど、我慢できるか自信がなくなってくる。

鍵を開けて靴をなんとか脱がせて、とりあえずゆめを寝室のベッドに寝かせる。
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