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stride‼︎

第2章 公園日和


重なった唇がゆっくりと離れる。
自然に閉じていた目を開けると、間近に日々人の顔があってヘラ、と照れ笑いしてしまう。

すると日々人がはぁ、と溜息をついて私の肩に手を置いて、その上におでこをトスっとのせる。
日々人の髪がチクチクと頰にあたり、くすぐったい。

「……もぉ、ゆめ可愛すぎ…。キスなんてするつもりなかったのに…。
会って2日で、こんな…。」
日々人の表情は見えないけど、触れた肌の温度が、吐息が、全部を伝えてくれる気がする。
わたしも、ちゃんと気持ちを伝えたい。

「わたし、公園で日々人と喋るのが嬉しくて、帰り道離れがたくて仕方なかった。
それに、手を繋ぐのも、キスも、すごく嬉しかった…。」

日々人が顔を上げて真っ直ぐにわたしを見る。
「そんなこと言われたら俺、期待しちゃうよ。
俺と同じ気持ちでいてくれてるって…。」

「うん。期待してよ…。」

いつの間にか公園の岩壁にたてかけられた自転車から手を離して、日々人がぎゅっとわたしを抱きしめる。
日々人の広い胸にわたしはスポリと収まってしまう。
温かくて心地よくて、目を閉じる。

溢れた想いが止められなくて、わたしは日々人の背中に手を回してぎゅっと抱きつくと、「すき…。」と小さく呟く。
すると、日々人も私の耳元で囁くように
「俺もゆめがすき。」と言って頰に軽くちゅ、と口づける。

しばらく離れられなくて抱き合っていたけど、流石に歩道で、薄暗くはなっていたけど恥ずかしくなってきて離れる。

「暗くなってきたし、買い物終わったら送ってくよ。」
自転車を器用に片手で押しながら、もう一度手を繋いで歩き出す。

「えっ!?大丈夫だよ!
自転車だし、シャーっと帰るから!」
「俺が送りたいの!
大人しく送られて…。」
照れたようにそっぽを向く日々人がかわいい。
「ありがとう。嬉しい…。」
嬉しい気持ちを伝えたくて、繋いだ手をきゅっと握る。
日々人がこっちを見て優しく笑う。

「ゆめの手冷たいね。
ずっと外にいたし冷えちゃった?」
「ほんと?全然大丈夫だよ。
日々人の手があったかいんだよ。」
「そっかなぁ…。」
そう言うと、日々人のダウンのポケットに繋いだ2人の手を突っ込む。
「ありがと。すごくあったかい。」
「うん。」

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