第2章 公園日和
『また今度くればいい』
なんでこんなに嬉しい言葉をくれるんだろう。
好きにならないなんて、無理だよ…。
それぞれ好きなピロシキとジュースを買って、また近くのベンチに座る。
「んー、おいし!」
「あっち。うん、うまいね。」
ふたりでハフハフしながら揚げたてのピロシキを頬張る。
晴れても寒い今日は、熱々のピロシキが特に美味しく感じる。
「ゆめちゃんはいつからこっちにいるの?」
「んーと、、1ねん半前くらいですね。
22のときに来たんで。」
「てことは今まだ23?若いなぁ。」
「南波さんも十分若いですよ!!
てかずっと変わらない。」
「いや、俺もう35だし十分おじさんだよ。」
「えー、全然そんな感じじゃないけど…。
でもここにいると、日本人って幼く見られますよね。
私なんて元々童顔だし、背も低いからいつも子供扱いされますもん。」
「いいじゃん。そこが可愛いし。」
サラリと可愛いと言われて、言葉のあやだってわかってるのに顔が真っ赤になってしまう。
小さくてかわいい、とかそういうことだよね…。
でもチラリと日々人さんを見ると、日々人さんも顔が赤くて…。
目が合うと少し逸らして、膝に肘をついて手で口元を隠す。
そんな態度取られたら、期待しちゃうよ。
沈黙にいたたまれなくなって、話題を変える。
「そっそういえば、日々人さんはお兄さんも宇宙飛行士なんですよね??」
「そうそう!今度ソユーズの訓練でこっちに来るみたいだよ。」
「そうなんですか!?
会えるといいなぁ。兄弟で宇宙飛行士って、すごいなぁ。
兄弟仲いいですか??」
「うん、いい方かも。
子供のころは特にふたりとも宇宙好きだったから、ほぼ毎日一緒だったし。
ゆめちゃんは?」
「私はお姉ちゃんがひとり。
仲よかったけど、結婚して関西に行っちゃったから最近はなかなか会えてないですね。
私も会いたくなってきちゃったなぁー。」
「はは。年末は帰らなきゃね。」
「ですね。あぁ、でもまたいらないお土産たくさん持たされるんだろうなぁ。」
「あはは、母の愛ってやつだね。
俺も納豆とかキムチとか、訳わかんないやつがたくさん届くわ。」
「あはは!納豆!栄養ありますもんね。
母の愛だ。」
「いやー、あれは絶対自分がいらないもの入れてるよね。」
「あはは!」
話は尽きなくて、気がつくと日が傾いてきている。
