第1章 春、桜のない空
11111
綺麗に並んだ数字
それをわざとやったんだ、ゲームとして、遊びとして
それがわかった瞬間
景色から色が消えた
嬉しいはずの優勝が、辛かった
離れたところにテツヤ君がいた
・・・泣いてた
見てはいけないものを見たような気がしてすぐに顔を背けた
変わってしまったせーくんは、そうやって勝っても、いつもと、変わってしまってからのせーくんと変わらなくて
ああ、もう本当に違うんだなって、嫌ってほど理解した
理解したくなかった、わからないままでよかったのに
隣に座ってるさつきはどんな顔をしてるんだろう
そう思ったけど、見れなかった
大きく息を吐いて、涙を堪えるのに精一杯だった
去年の夏