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【黒バス】それはきっと涙の色【赤司】

第1章 春、桜のない空


「いいの、征ちゃん?そんな試すような真似・・・」
「問題ないよ、むしろ、おまえたちが僕に疑問を持ち続けることのほうが問題だ。それにたとえどんな勝負でも、僕が勝利を手にすることには変わりはない」

言い切ってせーくんは、あたしの方を振り返る

「先に教室に戻ってるかい?」
「んー、楽しそうだからここにいるよ」
そう答えるとちょっと笑った気がした、一瞬で現実か気のせいなのかわからない


「じゃあ、はじめようか」



玲央先輩たちがルールを決めて、最初の勝負は永吉先輩とせーくんの腕相撲

見た目からしたらどこから見てもせーくんが負ける気がする

それでも

(天帝の眼があるかぎり、それは意味がないですよ)

なんて頭の中で言って、せーくんの背中を見て笑う

「レディー・・・ゴゥッ!」

玲央先輩の掛け声
同時に高い音
手が机に打ち付けられた音

信じられないといったような永吉先輩の顔

ちょっとおかしい

「天帝の眼がある限り、物理的な力勝負じゃ勝てませんよ」

さっきの頭の中の言葉を口にする

「僕はどんな勝負でも負けない」

ぺしっと軽く頭を叩かれる
『物理的な力勝負じゃ勝てない』という言葉がお気に召さなかったのだろうか

「・・・」

叩かれた部分を片手で抑えながら、文句ありそうな顔でせーくんを見ると
ため息一つはいて、その部分を軽く撫でてくれた

なんだ、優しいじゃないか
単純なあたしはそれだけで若干嬉しくなる

「頼むから子供っぽいことはしないでくれ」

・・・一言余計ですよ、せーくん
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