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【黒バス】それはきっと涙の色【赤司】

第1章 春、桜のない空


昼休み、部室にファイルを返しに行くと言ったせーくん
あたしも借りてるファイルがあったのでついでに返してきてほしいと頼むと
「それくらい自分でしなよ」とのこと

なんだ冷たいじゃないか

「じゃあ、一緒に行っていい?」

そう問うと

「ああ」

すぐにそう返ってきた、相変わらずよくわからないなぁ、せーくん




「何だ、三人ともここにいたのか」

ドアを開けてせーくんがそう言った
後ろからついて行ってるあたしには誰がいるのかわからない

三人という言葉で思い浮かんだのは、無冠の五将の三人なのだけど

ドアの向こうを覗くと予想通り、彼らだ

「こんにちは!!」

先輩には挨拶、当たり前
あんなふうにタメ口でいけるのはせーくんだけだろう

「あら、ちゃんも来てたの?」
「先輩方何してたんですか?」
「ちょーどよかった、この前の話覚えてる?」

小太郎先輩が身を乗り出してくる

「この前の・・・?」
「ほら、赤司は負けたことがないってやつ」
「あ!!」
「なんのはなしだい?」
「この前、せーくんはなんでも負けたことがないって先輩たちと話してたの」
「へぇ・・・」

それがどうしたんだとでも言うような目をこちらに向けるせーくん

「おまえ一度も負けたことがないって、本当なのか?」

あの時話に加わってなかった永吉先輩が口を開いた

「本当だ、僕は敗北を知らない」
「・・・一度もか?」

念を押すように言う永吉先輩
信じられないのも当然だろう
あたしだって今まで一緒にいなかったら信じてなかったに違いない

「一度もだ」

はっきりと言い切るせーくん
先輩たちが皆黙っていると

「信じられないと思うのも無理はないよ」
と付け加えた


少しの沈黙の後、小太郎先輩が明るいはしゃいだような声を出す

「じゃあさっ、こうしようよ!赤司オレたちと勝負しようよ!それで赤司が勝てば証明できるじゃん!」

瞳がキラキラと輝いていた、本当に子供みたいだ
玲央先輩と永吉先輩が呆れているのが見て分かる

「僕は構わないよ」

せーくんはあっさりとそう言った
そういうとは思っていたけど



どんな勝負だって
せーくんが負けることは、ない
いままでそうだったように、これからも

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