第1章 春、桜のない空
勝利が全て
それがせーくんの考え方で、全てで
今までそれが覆されたこと
つまり何かに負けたことはないんだけど
もし、せーくんが敗北するようなことがあったならば、その時彼はどうなるのだろう
練習が始まる少し前、玲央先輩とお話してる時、せーくんのことをきいた
「え、せーくんはもうキャプテンなんですか?」
「そーよ」
「・・・知らなかった」
それくらい言ってくれてもいいのに、せーくんの馬鹿
玲央先輩が言うには、どうやらせーくんは、春休みに初めて来た日に、もう部長に任命されていたらしい
そしてそれをあっさりと引き受けたのだそうだ
「まあ、せーくんなら嫌とは言わないだろうけど・・・」
そう呟く
玲央先輩は笑った
「確かに言いそうにないわね」
・・・絶対に言わないだろう
・・・言えないのかもしれないけど
「ちゃん?」
黙り込んだあたしの前で手を振る玲央先輩
「あ、なんでもないです、大丈夫です」
「、そろそろ仕事したほうがいいんじゃないか?」
近づいてくるせーくん
その言葉は命令ですね
仕事しろと
「はーい」
逆らわずに、素直にマネージャーの仕事を始める
こちらを目を細めてみているせーくんには気がつかなかった