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【黒バス】それはきっと涙の色【赤司】

第1章 春、桜のない空


「あら、かわいいじゃない?」
「名前は?名前は?」
「あ、えっと、水波です」
「ちゃんって呼んでいい?」
「あ、はい」
「あたしもちゃんて呼ばせてもらうわ」


せーくんに連れられて洛山高校男子バスケ部へきた
今、話してるのは無冠の五将

三渕玲央先輩と葉山小太郎先輩

もうひとり無冠の五将である根布谷永吉先輩もいるんだけど、まだ話してない



というか豪華すぎる布陣
それが第一印象だった

そして、その先輩方を同じ学年であるかのように名前で呼び捨てで呼ぶせーくんは
やっぱり只者じゃない、いろんな意味で


「緊張してるか?」
「うん」

すごく緊張してます
同い年の人せーくんしかいないもん
春休みだからそれくらいのこと考えればわかってたはずなのに


まあ、先輩もいい人そうだけど


「・・・何すればいいの?」
「帝光でしてきた事をしてくれれば十分だ」
「ん」

いつもは2年生の方々がやっているらしい

2年生の先輩方にすごく感謝された
マネージャーいなくて大変だったんだなあ・・・


「ほんと、ありがとう」
「あ、いえ、全然」
「マネージャーとして入ってくれるの?」
「そのつもりですけど・・・」
「嬉しいね、じゃあ、俺らは練習あるから。さっき言ったようにお願い」
「分かりました」


仕事の内容を3人の先輩から聞いて引き受ける
確かに帝光での仕事と変わらない


「マネージャー・・・か」


思い出すのは、彼ら
キセキの世代

楽しむことを忘れたバスケと、犠牲になったように辞めていった他のメンバー


だから、怖い


そして


「・・・せーくん」


せーくんは何のためにバスケをやるの?

たくさんのものを背負い込んでいては、いつか潰れてしまう



それが怖い

それを見なくてはいけないかもしれないことが怖い


勝つことを宿命づけられた彼は、ホントはひどく脆い


誰にも気がつかれないように、隠しているだけなのに





練習している姿を体育館の隅で眺める

完全にその場を仕切っているのはせーくんだった


「せーくん」


怖いよ


マネージャーなんてやりたくなかった

本当の理由は
彼が潰れるのを見たくなかったからなんだ。
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