第1章 春、桜のない空
「ねえ、せーくん……」
「なんだい?」
「二人暮らしだなんて聞いてないよ」
「言ってないからね」
「大体、お母さんたちはそれでオッケーしたの!?」
「家賃半分こしたほうが安いよね、じゃあいいよ、だそうだ」
「お母さんたちは、せーくんのこと信用しすぎなんだよー」
なぜか、赤髪幼馴染せーくんに、強要されてあたしは
県外の、京都にある、洛山高校を受けることになってしまった
せーくんの本気の頼みごとは目が怖くてほんと断ったら殺されるんじゃないかって思う
要するに断れない
両親が反対するかと思えば、が決めたんならそこでいいよ、いってらっしゃい、なんて言うんだ
違うの、決めたのはせーくんなんだよなんて言えるはずもなく
春休み、二人だけで京都に来て、せーくんが手続きしといてくれた家に案内してもらう
「寮で生活するんだったら、もっと家賃安くて、一人暮らしできたかもしれないけどね」
「じゃあ、寮がいい」
「ふーん」
ニヤニヤしてるせーくん、絶対に何かあるんだ
「なに?」
「寮、すごく古くて出そうだったけど?」
「別にお化けとかは怖くないよ!」
「幽霊とかじゃなくて、G」
「……ごめんなさい」
それは本当に無理だ
「こっちのほうが綺麗でいいだろう?」
笑うせーくん、どうやら着いたみたいだ
そこはまあまあ綺麗なアパート、汚くはないって言ったほうがいいのかな?って感じだった
「ちゃんと2部屋あるから、そんなに心配しなくてもいい」
「……わかったよ」
せーくんの後について大家さんに挨拶に行く
めんどくさそうな話はせーくんが全部してくれた、こういうとき頼りになる
「ほら、いくよ」
どうやらお話は終わったらしい
大家さんにぺこりと頭を下げて、自分たちの家に向かった
ここから、あたしの高校生活はスタートするんだ