第15章 孤独 御影密 切甘
稽古場
左京『急に集まってもらって悪かったな。察している者もいると思うが今日はめぐのことで話がある。』
いづみ『みんなも感じていると思うけど、合宿の翌日からめぐちゃんの様子が変わったの。合宿中は何もなかったはずなんだけど、何か知っている人はいないかな?ホントに些細なことでいいの』
団員はざわつく。なぜならみんな同じ思いだった。自分達にも理由がわからない。一部の団員を除いては。
左京『やっぱりか…もし何か思い出したり心当たりのある者は教えてほしい。今日は解散だ』
ザワザワ…
それぞれの部屋に帰っていく途中天馬が臣を呼び止めた。
天馬『臣さん、ちょっと今いいっすか?』
臣『あぁ、いいぞ』
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中庭
天馬『実は合宿中にめぐが話してくれたんだ。自分のことがわからない、だから自分のことは話さないって』
臣『天馬にも話したんだな。俺にも話してくれたよ。自分は相手に踏み込めない。でも自分には踏み込んでほしい。それが出来なくて嫌だって。』
天馬『あいつ、ずっと悩んでたのかな…全然気付かなかった…』
臣『それは俺も一緒。話を聞いて初めて知ったよ』
千景『なるほどね』
天馬『千景さん!?』
臣『ってことは千景さんも何かめぐから聞いたんですね』
千景『あぁ。自分は誰の1番にもなれない、自分じゃなくてもいい。自分はいらないんじゃないか。だから望まなければいい。相手からの要求を先回りして考えて、客観的に見て周りが幸せならそれでいい。随分と自己犠牲をしてきたみたいだったな』
臣『確かに、めぐはいつもそうだったな。何かをしたいって言ってもとても簡単なものだった。いつもしてることなのにお願いしてきてお礼を言うんだよな』
天馬『あいつ、辛かったのかな…俺らが追い詰めちまったのか…』
千景『いや、そうではないな。カンパニーに来る前の経験上の話だろう。ここでの話ではない。それが俺たちに話したことで何か蓋をしていたものが溢れた。そんなところだろうね。』
天馬『どうしたらいいんだよ…』
千景『密、いるんだろ』
密『うん。』
天馬『いつからそこに…』
臣『さすがに気が付かなかったな』
密『めぐ、毎日部屋で泣いてる。みんなに聞こえないようにベッドに顔埋めてる』