第50章 出会い
幸『VWA学院卒…アンタすごいね。監督、俺はいいよ』
いづみ『じゃあ!今日からよろしくお願いします!』
「あ、よろしくお願いします」
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秋組の部屋割りが済んだ後、めぐの部屋をどうするかの話に。
いづみ『私の部屋の隣が倉庫なんだけど、今使ってないからそこだと1人部屋に出来るんだ。どうかな?』
「どこでも大丈夫です」
いづみ『じゃあ掃除は春組のみんなにも手伝ってもらおう』
「今すぐ入寮はできますか?荷物、今あるので全部なんです。」
いづみ『え?』
すぐに入寮したいと言うめぐの荷物を見ると大きめのボストンバッグに1番サイズの大きいキャリーケースのみ。
いづみ『構わないけど、掃除これからだよ?』
「自分でやるので大丈夫です。掃除道具だけ貸してもらえますか?」
いづみ『うん、ちょっと待っててね』
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掃除があらかた終わって荷物を開けようとすると開いたままのドアがノックされた。
幸『ねぇ、今いい?』
「荷物開けるので、やりながらでもいいですか?」
幸『いいよ。ってかさ、アンタ俺より年上でしょ?敬語やめなよ』
「年がどうであれ、わたしよりこの劇団でのキャリアは上なので」
幸『その俺がいいって言ってんだからいいじゃん。俺もアンタのことめぐって呼ぶから。めぐも俺のことは幸って呼ぶこと。あと敬語もなし。決まりね』
「…わかった」
幸『じゃあ早速。何で今はフリーなの?』
「色々あって業界でやりづらくなった。でもヘアメイクからは離れたくなくて業界の手が届かない所でやろうと思って今はフリー」
幸『ふぅん…じゃあ深くは聞かない。』
「夏組の衣装は幸が作ったんだよね?」
幸『そうだよ』
「あのディテールも一からデザイン決めたんだよね?」
幸『もちろん』
「千秋楽しか見れなかったけど、あの一回で衣装の作り込み方が違うってわかった」
幸『…』
「この衣装を作った人と仕事したいって思ってここに来たんだ」
幸『…』
「だから改めて、よろしくお願いします」
幸の前で深々と頭を下げる。
幸『もしかして、衣装の経験もある?』
「うん、ひと通りのことは出来るよ」
幸『監督、いい物件拾ったかもね』
「?」
幸『こっちの話。あとで俺の部屋に来て。新生秋組の旗揚げ公演衣装の相談したい』
「もちろん!」