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満開桜

第50章 出会い


いづみ『そういえば、めぐちゃんが来たのも今くらいだったよね』
「あー、そうだっけ?」
いづみ『うん、確か万里君と十座君が喧嘩しそうなタイミングで来た気がするんだけど』
「思い出した。劇場のドア開けたら2人がメンチ切ってた」
いづみ『あの時は本当にヒヤヒヤしたよ…』
いづみが苦笑する。
「やばい劇団だと思って帰ろうと思ったら支配人に見つかって無理矢理中に入れられたんだよね」
臣『そうなのか?これ今日のお茶のお供な』
「イエス、そしてプチタルトってさすがママン!いただきまーす!」
いづみ『でもあの時来てくれてよかったよ、ありがとう』
臣『だな。でもあの時はめぐのこんな姿は想像出来なかったけどな』
臣が座りながら言うといづみも同意した。
いづみ『本当にね!』
「や、ビジネスモードと言ってくれないかしら。臣、このブドウのタルトめちゃ美味しい!」
臣『良かった、めぐの好きな店の味を参考にしてみたんだ』
口いっぱいにタルトを詰め込み口を動かしながらめぐは親指をグッと立てた。
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秋組オーディション
扉を開くと身長の高い2人がメンチを切っている間に女の人が明らかに慌てていた。やばい劇団に来たかもしれないと思っためぐが引き返そうとした時、支配人がめぐに気付き手を引っ張り劇場に無理矢理入れた。後に聞いた話ではあの空気を打開するためだったと支配人に聞いたが自分は生け贄だったと知り腹パンをしたのはここだけの話。
いづみ『もしかして、秋組のオーディションに参加の方ですか?』
「いえ、ヘアメイクとして雇って頂けないかなと思って….」
支配人『監督!ヘアメイク志望だそうです!』
いづみ『是非是非!!幸くん、どうかな!』
振り返り、幸を見やるいづみ。幸がめぐの前に立つ。
幸『経歴で判断するわけじゃないけど素性教えて』
真っ直ぐに自分を見つめる幸に応えるように目を逸らさず言葉を紡ぐ。
「清白めぐ、ヘアメイク志望。地元の高校行きながら知り合いのツテでヘアメイクのアシスタントやってた。卒業後はVWA学院でヘアメイクの勉強しながらプロのモデルとかのヘアメイク担当してた。今はフリー。」
簡素な物言いだが幸の目が一気に輝いた。
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