第14章 トリップ 野目龍広 甘裏
パーキングエリアで買った物を食べながらまた目的地に向かいそして宿に着いた。立派な佇まいのそれはお忍びで使うにはとても良さそうな雰囲気だった。
タツ『すみません、愛染で予約した者です』
スタッフ『はい、愛染様より伺っております。ご宿泊は2名様でよろしいでしょうか?』
タツ『はい、よろしくお願いします』
「お世話になります!」
スタッフ『では、お部屋にご案内します。』
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フロントから歩くとそれぞれの部屋が全て離れになっていて、渡り廊下は下がガラスで作られライトアップされていた。
「すごい素敵…」
タツ『さすが健十だな』
スタッフ『ありがとうございます。全てのお部屋が離れになっています。露天風呂もついており、お食事もお部屋に運ばせて頂いています。なので人目を気にせずという観点からそういったお仕事の方々にご愛顧頂いております。』
「『そりゃ健十が御用達なわけだ』」
スタッフ『最近では愛染様はあまりお目にかからなくなりましたね。素敵な方にお会いできたのでしょうね♪お部屋はこちらです。浴衣はよろしければ備え付けの物をご利用ください。何かあればこちらの内線でご連絡頂ければすぐにお伺いします。では、こちらで失礼致します。』
そう言って仲居さんが下がった。
「こんなとこに連れてこられたら女の子はイチコロだね、さすがは愛染健十だね〜」
タツ『そうだな』
タツはさっきの仲居さんの言った“素敵な人”というのがめぐだとすぐにわかった。仲居さんも恐らくめぐのことだと分かっていた。当の本人は全く気が付いていないようだ。露天風呂や庭の景色を見てはしゃいでいる。
「タツ、見て!浴衣選べる!しかも全部わたしの好み!タツのも選べるよ!どれにする!?」
タツ『今行くからちょっと待て』