第10章 絶対譲らない 愛染健十 甘裏
健十『めぐ、これ…』
そう。めぐはあの日から愛染に納得してもらう為にずっと試行錯誤していた。どうしたら曲のコンセプトも崩さず、愛染の要求も叶えられるか。そして愛染が来る少し前に出来上がった。
「この間は申し訳ありません。プロのスタイリストとして失格でした。なので今回改めて提案をさせてください。新曲の衣装、ヘアスタイル。こちらでお願いできないでしょうか。」
健十『…ははっ…これじゃ、俺の方が子どもみたいだな…めぐ。新曲はこれで是非お願いしたいな。』
「!!ありがとうございます!」
健十『あと、そろそろ敬語やめない?なんか傷付くな。』
「あ〜、仕事の話だったから。ついね。」
健十『俺からも改めて謝らせてほしい。プロのアイドルとして私情を挟んだ。ごめん。』
わしゃわしゃ
健十『な!?めぐ!』
ギュッ
健十『!?』
愛染が驚くのも無理はない。普段近づこうものなら持ち前のスルースキルで離れるくらいなのに自分から抱きついて来たのだ。
健十『めぐ?どうしたの?自分から抱きついてくるなんて。』
そんなことを言いながらちゃっかりめぐを抱きしめていた。
「はぁ…健十の匂い、久しぶり…健十と話したら自分が折れちゃう気がして…だからなるべく接さないようにしてたんだ。」
健十『うん、でもあの収録の時のめぐには驚いたな。あんな風に見られたことなかったから戸惑ったよ。』
「ごめんね。普段はあしらってるけど、ミーティングの日から寂しかったよ。」
健十『あんまり可愛いこと言ってると我慢できないよ?』
「ん、いいよ。仲直りしよ?」
健十『全く、可愛いお姫様だね。じゃあベッド…行こうか』