第1章 財前光に処女を捧げる
「やっぱこういう冗談って良くないと思うんだ。うちら姉弟みたいなもんじゃん?こういうのもうやめよう?」
「アホか。
冗談でこんな事せぇへんやろ」
ベシっと頭をチョップされるとどっちが説教されているんだかもう分からない。取り上げたはずの避妊具の箱さえ財前の手の中にあり、バリバリと切り取り線を無視して開封したグチャグチャの箱の中から6個入りの連なった小袋を取り出していた。
「いい加減腹くくれや」
悪いようにはせぇへん、と言う財前の顔ですら悪く思える。どうしてこの男は人の話を聞かないんだろう。
「無理無理無理!!絶対無理!私の初めては好きな人とするって決めてるの!」
今時の少女漫画でも言わないような台詞を吐いてしまう自分に恥ずかしくなり顔を真っ赤にしながら本音を曝け出す。
財前はさも面倒くさそうに顔を歪ませた。
「アンタにとっては気持ち悪ぃ話かもせぇへんけど、ずっと好きやった」
腹をくくったのは財前の方だったのか、その言葉を皮切りに今までの思いを全部吐き出された。
ずっと好きだった事、姉としてなんか見ていなかった事、財前の口からは信じられないような言葉がポツリ、ポツリと発せられる。
「別に…、俺の事を好きになってくれなんて野暮なことは言わんから。せやから、1回抱かせてくれ」
抱かれた後良かったらその後の事を話そう。と、付け加えられた。
最後の言葉は余計にも聞こえたし、にわかに信じがたいがどうやら財前は本気のようだ。
ジリジリとベッドに追い詰められていき、ベッドのフレームに膝裏がカツンと当たる。