第2章 侵入者
自分でもよく分からない“怒り”に似た何かが、内側で燻っていた。
それが具体的に一体何なのかは……
いや、“それ以上”深く考えておくのは辞めておいた。
理由は単純だ。
(まあ、俺たちは仕事とはいえ人殺しだ。人の尊厳なんざ、その肉体が腐るほど、穢してきた。人のこと言えるほどでもねェな。ハハッ)
自分達が“そんなもの”を
・・・・・・・・・・・・
抱く権利なんかないからだ。
そしてまた笑みを浮かべる。
「あ、あの…」
『!』
アルビノの女の子が突如、イルーゾォを見上げて話し掛ける。
「ああ?」
驚いて反射的に聞き返してしまい、リゾットも注目する。
女の子は怯えながらも、大人相手にちゃんと目を合わせた。
「わ、私たち……これから…どう、なるんですか?」
恐怖を押し殺し、勇気を搾り出すようにして、声を出した。
誰も手を挙げない授業中の空気とは訳が違うくらいの度胸だ。
そりゃあ、殺し屋相手に下手な真似をしたら目をつけられるのに、そんなリスクを冒してまで、声をかけたのだから。
(……へえ。他のガキンチョは、目を合わせることすらできねぇ奴ばかりだったが、この状況で、よく“正気”が残っているな)
イルーゾォはその勇気に敬意を表するように答える。
「さあな。俺たちはただ、てめーらを誘拐した奴らを始末するだけだ。だが勘違いするなよ。別にお前らを助けるためじゃあねぇぜ」
少しばかりの同情と少しばかりのツンデレが入っていた。
「まーその後のことは、お前らの“運次第”か?シスター様に教わった通り、神様に祈っておけばいいんじゃあねえか」
リゾットは「余計なことを言うな」と注意しようとしたが、それよりも、女の子がそっと口を開いた。
「……神様なんていないよ。こんな世界に」
『?』