第2章 侵入者
リゾットもイルーゾォも、その闇の深そうな白い瞳に目を奪われる。
一見すれば、神々しさを兼ね備えた美しい純白の姿にも関わらず、その内側にはどす黒い感情が渦巻いていた。
暗殺を経て多く人間の”本質”を見てきた二人には、“その片鱗”に見覚えがあった。
生きるのを諦めた死人も同然の目だ。
その目を部屋の中にいる仲間たちに向ける。
「ここにいる皆がそうだよ…親に売られたり……買われては見世物にされて、何度も色んな人に攫われてきて……
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最初から私たちの命なんて、どこにも無いんだよ……」
「……」
リゾットは少女の儚げな様子をじっと眺める。
少女は大人しく部屋へ進んでいくと思いきや、また一度振り返って歪な笑みを浮かべた。
「だからね、もし…殺されても、別に…恨んだりしないからね。
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殺し屋のお兄ちゃん……」
その声には微かな涙が入り混じっており、そのまま部屋へ入っていった。
「……」
リゾットは黙り込み、何か含みを持たせるような苦い表情を浮かべる。
「リゾット?」
「……俺達の任務は犯人の暗殺だ。やるべきことに集中しなけれ、失敗の要因になる。気を抜くな」
それはまるで、自分に言い聞かせているのも同然の独り言に近かった。
イルーゾォは薄々思いながらも、「あ、ああ。もちろんそうだよなァ」と返事をして、リストにまた目をやる。
リゾットは腕組みしている手で、ギュッと自分の腕を握っていた。
「え〜、最後は、ジャポネーゼか。こんなに小さいのに、海を超えて売られるとは、気の毒なこった」
リゾットも釣られて子供に目を向けた。
イルーゾォの言う通り、日本人と思わしき女の子だ。
赤い雨着を着ていて、顎まですっぽりと首元が隠れているタイプだ。
10歳にも満たない子供で、一見性別が分からないような中性的な顔立ちだが、膝下までの長さのスカートを履いているため、女であるのは分かる。
しかし、
・・・・・・・
何かが変だった。
(ん?何だ、この子供……)
妙に落ち着いた様子。他の子供のような挙動不審とは程多い冷静そのものな態度。
この“違和感”は……