第2章 侵入者
「えー、次のガキは、赤毛の少女。11歳。特に間違いはなさそうだな」
名前は読まずに、容姿と特徴を目視する。変に深く知ってしまえば、
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情を持ってしまう恐れもあるからだ。
「……」
リゾットはその様子を腕を組んで後ろの壁に寄りかかり、側から見ていた。
何人かの子供がリゾットとチラリと目を合わせるが、すぐに目を逸らす。
そりゃあ、ギャングのリーダーだから、貫禄もあって普通の子供はビビる。
「次のガキは……オッドアイの、イタリア人?ご当地か?」
金髪の少年で、確かに眼の色が違う。左が茶色で右が碧色で作り物みたいだ。
イルーゾォはリストと見比べる。
(なるほど。確かに、美術館に飾っても儲かりそうなモデルだな。俺も初めて見たぜ)
しかし生気があるような目をしていない。
全員が俯き気味で、清々しい朝とは言い難い雰囲気でいる。
(とんだ重苦しい朝だな。見たら“カッフェ”(コーヒー)が拙くなりそうな面しやがって)
だが確かに、同情はするぜ。
お前らは踏み込んじまったんだ。いや、巻き込まれたと言うべきか。
俺たちみてえな奴らが、金やら権力やら、私腹を肥やすために暗躍する“悪の巣窟”って世界によォ。
パッショーネに目をつけられちまった時点で、もう二度と、光の世界に戻れることはねぇだろうぜ。
(それに、これからさらに酷なモンを見ちまうかもな。
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死んだ方がマシなくらいの、血と肉と死を、浴びるほどな)
イルーゾォはそんな憐れみを頭の中で描いていた。
子供を部屋に通して、次に進む。
(で、このガキが一番の目玉商品。アルビノ、か)
リストには人道も何もないことが書かれている。
最高峰の極上の素材。
その素材でできた革製品やお守りは、厄災を払うどころか、幸運をも引きつける素晴らしい逸品になる。
殺さずに見せ物にするだけでも、国に影響を及ぼすほどの経済効果をもたらす。
それも女子供の姿であれば、価値はさらに跳ね上がり、それこそ、神と崇められる存在になりうる。
(誘拐犯はその神とやらの皮を剥いで、世界に二つもない神物でも作ろうとしたってワケか?)
……下らねぇな。
イルーゾォの笑みが消えた。