第2章 侵入者
「アンタは何かあるのか?」
「いや。ここを選んだからには、些細なことにも気を配る必要があるからな。特に廃墟にはな」
空き家などずっと手付かずだった建物は、ジャンキーやらルンペンやらが住み着いていることが多い。
しかもこれから誘拐犯を皆殺しにするとなれば、もし目撃者でも出せば、始末しなくてはいけなくなる。
余計な死体は増やすわけにはいかない。
「じゃあ、俺は2階に戻るついでに、怪しい物がねえかもう一度見てくるぜ。さっきは子供に気を配ってたから、ゆっくりな。ホルマジオ。ガキのチェックは頼んだぞ」
イルーゾォはリゾットの前でリーダー気取りの指示をホルマジオにする。
「はァ?何で俺だよ?」
「今リストはてめーが持ってるだろ。それに、お前の頭の方が子供受けするだろ?」
スキンヘッドは触りがいがあるだろうと指をさしながら言う。
(そーゆうお前だってお下げでガキみてえな髪型じゃあねえか)
と思いつつも、下手な揉み合いで気力を使うのもごめんだ。
ギアッチョとトラックで夜中の長距離ドライブをした疲れが残っているからだ。
「はぁ。しょうがね~なぁ~」
無害のガキの見張りなら殺しより100倍楽だ。後味悪くなく、仮眠も取れる。
むしろ願ったり叶ったりな提案かもしれない。
「……いや、ホルマジオが2階でプロシュートとギアッチョと待機しろ。イルーゾォと俺でする」
『!』
しかし、本当のリーダー格であるリゾットが口を挟んだ。
それでも2人は特に異論を唱えることなく、リーダーの意向に素直に従い、ホルマジオは下に戻る。
「ほらよ先生。名前読み間違えるなよ」
そう言いながら、イルーゾォにリストを手渡して空いた手を振って去った。
「……けッ。そーいうてめェもあながち満更じゃあなかったんじゃあねえか」
そう言うイルーゾォも決して嫌がっているわけでもなく、1人1人をリストでこまめにチェックして、部屋の中に入れていく。