第2章 侵入者
子供全員を一列に並ばせ先頭に立ち、次々に病院の廃墟へ入れていく。
構造は5階建てで、周りに違う建造物は一切なく、シダ植物が建物の外側を覆っている。
入り口の扉にもびっしり覆われ、ある意味、味わいのある様式になっている。
ホルマジオは子供の先頭で誘導しながら言い聞かせる。
「これからお前たちには上の階で、大人しくしてもらうぜ。大事なことだから何度でも言うぜ。
・・・・・・・・ ・・・・・
大人しくしてろよ。大人しくな。もう一回言うか?」
一回しか言わないのではなく、繰り返し聞かせることで覚えてもらう。教育者としては良いことだ。
暗殺者が本業であるが。
(ホルマジオの野郎。案外、満更でもねえんじゃあねえか?)
子供を挟んで列の後ろにいるイルーゾォは、その後ろ姿を眺めながら、こうも思っていた。
(ハァ。ホルマジオと学校の先生まがいのことをやるとはァ。こんな任務初めてだぜ)
パッショーネに刃向かう野郎共には命を持って償ってもらう。
その肉と血を散らばらせ、変死体として処理されるよううまく細工をする。
そんな風に泥をすするようなことばかりをやってきたが、今回はメローネの言う通り、マジの異例だ。
(それにまさか、ヒーロ気取りみてえに、ガキを助ける結果になるとはな…)
イルーゾォもまた、これかららしくないことをする自分たち暗殺チームに、気持ち悪い違和感を覚えていた。
しかしその一方で、心のどこかで、少し誇らしく思う自分がいた。
予定通り子供を連れて、薄暗い廊下を通り、階段を登る。
ネズミのフンや昆虫の死骸が床の隅の方に散らばっており、あまり下を向かないようにする。
ホルマジオとイルーゾォの誘導で、子供たちは最上階へ運ばれた。
「来たか」
すでにそこにはリゾットがいた。
子供を一番上の5階にしばらく置き、誘拐犯をおびき寄せると計画したのも彼である。
「ここまで来るとき、何か気になることはあったか?」
リゾットはホルマジオとイルーゾォに聞く。
「いや?小動物の死骸やら排泄物やらで、まさに廃墟って感じだったぜ」
イルーゾォも同じ意見だ。
「そうか。ならいいが…」