Instead of drink[テニプリ 越前 リョーマ]
第3章 夕暮れ
「絶対だよ」
は小さな声で言った。
例え小さな声でも、リョーマに届くように。
大きな声にならなくても、自分の思いがリョーマに届くように。
『心配しすぎ』
リョーマの声が優しかった。
語尾に少し吐息が混じる優しい声。
リョーマくん。
「私、大丈夫かな」
『なにが』
「さっきリョーマくんからメッセージが来た時、一生分の幸せを今日受け取ったって思ったの」
リョーマからメッセージが来てそう思ったのだ。
今日一日、いや半日か。
一生分の幸せをぎゅうっと詰め込まれたような。
もうこれ以上は入らない。そう言われてしまうような。たった半日の間に今一番欲しくて必要なものを受け取ったのだ。
『一生分?』
リョーマがに聞く。
耳からその声が届く。
「そう。今日カラオケに誘われるまではいつもと同じ。影からリョーマくんを見てるだけだった、カラオケに一緒に行ってリョーマくんの歌声も聞いてそれから」
『歌声はいいよ』
リョーマは静止するように間に声を挟む。
「ふふ」
『で?』
「で、えっとそれから」
『それから?』
それから。カラオケに行ってリョーマの歌声を聞いた。それからリョーマの先輩方が帰って·····
は記憶を辿る。忘れている訳では無い。忘れる訳もない。
「それから、みんな帰っちゃって、リョーマくんと私だけになって」
『それから?』
これは、リョーマのやり方だ。
言わせようとしているのだ。その後に起きたことを。
「それから、えっと、」
それから何が起きたかはもちろん覚えている。
思い出すととんでもないと思う。
『忘れたの?』
やはりそうだ。リョーマは言わせようとしている。ドSだ。完璧で隙もないドSだ。
「わ、忘れてないよ!」
『じゃ それから?』
だめだ、許されない。許されるわけが無い。こういうリョーマを知っているから。はそう思った。
「そ、それから·····っリョーマくんに·····っリョーマくんに襲われた!」