Instead of drink[テニプリ 越前 リョーマ]
第3章 夕暮れ
直接会うわけでもないのに身なりが気になる。
髪の毛はドライヤーをしていい香りのヘアオイルをつけた。肌のスキンケアも念入りにしてツヤツヤに見える。一番お気に入りのパジャマも着た。
時計を見ると間もなく21時。
ふぅっと大きく息を吐いた。
「まったく…中学生じゃないんだから」
中学生ではない。けれど中学生が初めて恋をしたような気持ちだ。淡い恋心。誰かを好きになるという気持ち。今までだって好きになる相手はいた。
それなりに経験もした。
「好き」だという気持ちには何種類もあるのだろうか。リョーマを好きな気持ちは…どんなものなんだろう、ベッドの上で膝を立て頭を埋めた時耳慣れた音がスマホから鳴った。
リョーマだった。
スマホを持ち画面を見つめて指で触れた──────────
「もっ、もしもし」
声が、声が大きくなってしまっただろうか、多分大きかった気がする。
『あ、俺』
「·····うん」
うんと言ったものの何を話せばいいのか、立てた膝に力が入る。足の指をもじもじとさせながら。
「あ、こ、声、声大きくなかった?大きくない?大丈夫?!」
そう伝えた途端耳からくくっと笑うような声が聞こえた。
『でかい』
リョーマはそう言った。笑いを堪えているような声で。
「ご、ごめんっそうだよね…っ」
声量が変わったかどうかはわからないが、やっぱりそうだったとは頭を抱えた。
『アンタ ほんと子供っぽい』
リョーマがやや笑っているようなやれやれといった様子で言う。耳と心がザワつく。
子供·····っぽい。
『さんが年上なんて絶対嘘だね』