第3章 目を引くもの
『俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校"校訓"をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!』
ナポレオンの名言は多々あるが、英雄としての言葉ならばこのひとつに限る。
"真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えていく者のことである"
『Plus Ultra(更に向こうへ)!!それでは皆!良い受難を!!』
動きやすい恰好に皆着替え、場所は移り演習会場。模擬市街地と言っていただけあってビルが並んだひとつの街のようだ。
(広いなぁ)
単純な感想がそれだった。下手に緊張していても成績は残せない。ならばなるべくいつものペースを保つのが最善であると考え、上着に忍ばせていた飴を頬張る。
周りを見れば皆意気揚々と自信ありげな表情をしている。
そんな中、説明会で挙手した眼鏡男子と彩希の隣に座っていた例の少年が揉めていた。いや、眼鏡の方が一方的に言い詰めているようだった。
萎縮している少年を見て、周りはライバルが1人減った、ラッキーだと呟いた。
『はいスタートー!!』
突然プレゼント・マイクの声が演習場全体に響いた。全員呆気にとられ、高台にる声の主に目を向ける。
だがひとりだけ、スタートの合図と同時に街中へ走っていく者がいた。
『どうしたぁ!?実践じゃカウントなんざねえんだよ!!走れ走れ!!賽は投げられてんぞ!!?』
その声に全員が走り出す。ひとり出遅れた受験者もいたが、これはポイント制の演習。より早く、迅速に、ひとつでも多くポイントを取ったものが合格となる。
そして受験者が走り出した先には、高得点の3ポイント敵〈ヴィラン〉が何体も倒れ、潰され、木っ端微塵になっていた。