第3章 目を引くもの
プレゼント・マイクの説明によると、この後10分間の模擬市街地演習が入試の実技試験のこと。
各自指定された演習会場へ向かい、装備や道具などの持ち込みは自由らしい。
演習場には仮想敵〈ヴィラン〉を3種、多数配置。各種の難易度に応じてポイントがあり、それらを行動不能にすればポイントが加算される。
(ん?3種)
説明に引っかかりを感じ、配れたプリントに目を通す。
「質問よろしいでしょうか!?」
下段にいた受験生が勢いよく手を上げた。
「プリントには4種の敵〈ヴィラン〉が記載されております!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!!」
などとかなりの声量でプリントと説明の矛盾とヒーローへの高い意識を発した。
「ついでにそこの縮れ毛の君!!」
指を差されるのは彩希の隣にいる男子。
「先程からボソボソと…気が散る!!物見遊山なら即刻、雄英から立ち去りたまえ!」
眼鏡の奥にある眼光が鋭く貫く。すみませんと両手で口を塞ぎバツが悪そうに縮こまる彼を回りが小さく笑った。
「そして隣の、金目の君もだ!!雄英を受けるのならそれ相応の服装をしたまえ!!」
余計な飛び火がこちらにもきたと、分かりやすいように舌打ちをした彩希に眼鏡の男子がさらに睨む。それでも一切の怯みもなく、冷たく、敵意を込めた視線が彼を突き刺す。
緊迫する中で突然、軽快なクラップ音が鳴り響いた。
『オーケーオーケー!!今年のリスナーは血気盛んだなオイ!!暴れてぇなら演習場でやってくれ!』
一触即発の雰囲気をプレゼント・マイクがかき消す。さすがヒーローというべきか、敵意には敏感なのだろう。殺伐とした空気が一瞬で元に戻る。
『さぁーて出席番号7111くんのナイスなお便りにこたえなきゃなぁ!』
何事もなかったかのように補足説明が始まった。
4種目の敵〈ヴィラン〉は0ポイントの邪魔をするためだけにあるようなもので、有名なゲームの敵キャラに例えるならばドッスンだとのこと。
『各会場に1体!所狭しと大暴れしているギミックよ!』
「有難う御座います!!」
見本のようなお辞儀をして着席する眼鏡の男子。
避けるためのステージギミック、ポイント制の演習、まるでゲームのような話だと皆口々にざわついている。