第9章 BATTLE START
新たに二つの箱を取り出し、一方はHERO、もう一方はVILLANと書かれている。その二つの箱に片方ずつ手を入れ、ローマ字が書かれたボールを取り出した。
「Aコンビが『ヒーロー』!Dコンビが『敵<ヴィラン>』だ!!」
緑谷麗日コンビと、飯田爆豪コンビの対戦。
(あっぶね…)
彩希は緑谷達に声を掛けなくて内心ほっとしている。
初戦であれば容量がつかめず、更に『ヒーロー』側は設定上後手に回ることになり不利だ。
(それに、ヤツと"相性"悪いんだよな)
目線の先には爆豪。出会って間もないが常にイラついてるように見える彼は、今日はその何倍も殺気立っている。
見ていることに気付いたのか、爆豪と目が合った。誤魔化すように軽く手を振れば舌打ちが聞こえ目を逸らされる。
「敵<ヴィラン>チームは先に入ってセッティングを!5分後にヒーローチームが潜入でスタートする。他の皆はモニタールームで観察するぞ!!」
緑谷、麗日、飯田、爆豪を除き、他の生徒が地下のモニタールームでその4人を観察する。
5分後、ヒーローチームが窓から侵入するのがモニターで確認された。
アジトであるビル内は個室が多く、必然的に死角も多い。そしてその死角から飛び出してきたのは。
「いきなり奇襲!!」
爆豪である。
緑谷めがけ右手を大きく振りかぶれば、爆発とともに壁が崩れた。しかしそれは避けられ、かすりはしたがほぼ無傷である。
「爆豪スッゲェ!!奇襲なんて男らしくねぇ!!」
「奇襲も戦略!彼らは今実戦中なんだぜ!」
「緑くんよくよけれたな!」
(昔馴染みって言ってたっけ)
昔から近くで爆豪を見てきたから彼の癖を知っているのだろう。だがそれだけではなく、恐らく緑谷自身の勤勉さが、努力が、今活かされ、報われる瞬間なのかもしれない。
更に爆豪が攻撃をしかける。しかしそれは完全に緑谷に読まれていた。迫る右腕を掴み、背負い投げのように、相手を地面に叩きつけた。
(がんばれよ、緑谷君)