第9章 BATTLE START
一瞬表情が明るくなったが、彼女のコスチュームをまじまじと見て眉間に皺が寄る。
「彩希ちゃん…だよね?」
「そうだけど?」
「東動さん、本当にそれでいいの…?」
「え?むしろ外見の要望完璧で凄い嬉しいよ」
少しくぐもった声で本人だと確認が取れるが、麗日と緑谷が怪訝そうな顔をするのも無理はなかった。
足首程まである黒のロングコートは前を閉めており深いフードを被っている。顔はドクロのような仮面と口布をしており表情は見えない。肌の露出は今のところ、グローブの甲部分に開けられた穴のみである。
そして時折ジャラリと金属が擦れる音が何とも不気味だった。
「なんというか、死神っぽいような…」
「そうそう、好きなデスメタルがそんな感じでさ」
「顔一切見えないの怖すぎやろ!」
「あ、これね。上の部分はずれるんだよ」
そう言って仮面を額にかければ、切れ長の整った金目が覗いた。
「ね?」
軽いウインクをすると二人の心臓が思わず跳ねた。
「見た目怖いのに蓋開けたらイケメンとかずるいギャップ…!!」
「いや開けたのはマスクで」
「そういう意味じゃないよ東動さん…」
そんなやりとりをしていれば、白いアーマーのコスチュームを着た生徒が挙手し、オールマイトに質問を投げかけた。
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
(飯田君かあのアーマー)
「いいや!もう二歩先に進む!屋内での対人戦闘訓練さ!!」
敵<ヴィラン>退治は主に屋外で見られるが、監禁、軟禁、裏商売など、統計では屋内の方がより凶悪敵<ヴィラン>出現率が高い。
「君らにはこれから『敵<ヴィラン>組』と『ヒーロー組』に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!!」
「基礎訓練無しに?」
「そのための実践さ!ただし今度はブッ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ」
屋内での対人戦闘であれば、入試時のロボでは不釣り合いだろう。
「勝敗のシステムはどうなります?」
「ブッ飛ばしてもいいんスか」
「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか…?」
「分かれるとはどのような別れ方をすればよろしいですか!」
「このマントヤバくない?」
生徒がそれぞれ怒涛の質問を投げかければオールマイトは唸り声をあげる。
(そういえば実は新任の先生なんだよな…)
