第6章 フリーダムアカデミー
そう名前を呼ぶと、雄英の制服を着たボブカットの女子が振り向いた。
「彩希ちゃん受かったんやね!久しぶり~!」
「久しぶり、制服似合ってるね、可愛いよ」
「ほんと?なんか照れる…!彩希ちゃんもビシっと決まっててカッコイイよ!」
「ありがと。スカートは殆ど履かないから、ちょっと慣れないんだよねぇ」
プリーツスカートの裾を掴みひらひらさせていると、麗日の奥にいる男子二人が驚きを隠せない様子で彩希を見ていた。
「あ、あああの入試の私服の人…!?」
「君!女子だったのか!?」
「そうだよ、受かったんだね飯田君、と…君は」
顔見知りが多いなと飯田を見上げ、彼の前に立つ生徒に視線を移す。
「み、みみ緑谷出久です!」
「緑谷君ね、東動彩希だよ。あの時は助けてくれてありがとう」
そういって彩希が右腕を伸ばすと握手と察し、緑谷は慌てて彼女の手を握り、彩希もまたそれを握り返す。
しかし彩希は緑谷の手を握ったままじっとそれを見つめている。
「あ、あの、東動さん…??」
女子と手を握るのが恥ずかしいのか照れているのか、緑谷は顔を赤らめながら、手を離してと催促した。
「あぁゴメンゴメン、腕はもう大丈夫みたいだね」
「う、うん、足も気絶してる時にリカバリーガールが治してくれたって聞いて…」
「そっか、よかった」
本鈴のチャイムが教室に響く。
空いた左手で緑谷の手の甲をひと撫ですれば、くすぐったかったのかビクリと身体が揺れる。彩希はそれに小さく笑うと彼の手を離した。
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」
突然、廊下側からやる気のなさそうな声がした。
「ここは…ヒーロー科だぞ」
黄色の寝袋を着て寝転がる、先ほどまで眠っていた相澤が彩希達を見上げ、懐からゼリー飲料を取り出し一気に吸い込んだ。
(なんか!!いる!!!)
得体のしれない物を見る目で生徒たちが相澤を見つめるが、それを一切気にせずに彼は寝袋を脱ぎ起き上がった。