第5章 終わりのあと
二人で校内を歩いていると、職員室という文字が見えた。
扉は開いており、中には試験の監督をしていたプレゼント・マイクの姿があった。
目を合わせお互いに頷き、職員室へと足を進める。
「すみません、あのぉ…」
「お話したいことがありこちらに伺いました。突然申し訳ありません」
その声を聞きプレゼント・マイクがこちらに近づく。
「オーウどうしたリスナーふたり。サインなら遠慮してくれよ?」
「いえ特にいらないです」
「ジョークだよジョーク!冷めてんなオイ!!」
間髪入れず端的に否定をする彩希にゲラゲラと笑う。
「で、話ってのは?」
「あ、あの、頭モッサモサの人…そばカスのあった…わかりますか…?っと~~地味めの~~~」
「実技試験で0ポイントの仮想敵<ヴィラン>を吹っ飛ばしていた男子です」
ジェスチャーで少年の特徴を伝えようとする麗日に、彩希のフォローが入る。
「その人に私のポイントって分けるって出来ませんか!?」
「えっ」
どうにかならないかと言っていたのはそういうことだったのかと麗日の言葉に目を見開く彩希。
「あの人『せめて1ポイント』って言ってて…!私、聞いてて!だからまだ0ポイントだったんじゃって思って…!」
(…あぁ、なるほど)
あの少年もこの少女も、本質的な部分では何も変わらない。
自己犠牲という、ヒーローの大前提。
「あの人、救けてくれたんです!!」
お願いします!と頭を下げる麗日に、プレゼント・マイクは
彼女の頭をぽんと撫でた。
「分けらんねぇしそもそも…分ける必要がねえと思うぜ女子リスナー!!」
プレゼント・マイクの答えに麗日は首をかしげるが、彩希はやっぱり、という風に顎に手を当てる。
「つまり、入試で見ていたのは敵〈ヴィラン〉を倒したポイントだけではないと?」
「さーてそれは合否通知が来てのお楽しみだぜ?」
さぁ帰った帰ったと二人の背中を押し、扉は閉められた。
しばしの沈黙。それを破ったのは麗日だった。
「…見てたのは敵<ヴィラン>ポイントだけじゃないってどういう意味?」
「あぁ、ようはヒーローの素質みたいなもんかな。いくら敵を倒せても、人を救えなきゃ意味ないでしょ?」
「…!せやね!!」
合点がいったように麗日が笑う。それに釣られ彩希も微笑み、二人で帰路へと足を進めた。