第4章 衝撃と終劇
「チユ~~~~~~~!!!」
リカバリーガールの唇が伸び、少年の頭に当たると、あらぬ方向へ曲がった両足も正常な位置に治癒されていった。
「ちゃっちゃと行くよ、他にケガをした子は?」
そういうと受験者が彼女のもとへ集まる。それを見て彩希はその場を離れた。
「待ちたまえ」
不意に呼び止められ、声のした方を向くと、説明会で彩希を指摘した眼鏡の男子だ。
人物を認識した彩希は誰が見ても分かるくらいの嫌そうな顔をする。
「っ、君、少しは表情を隠せ!そんな顔をされたら多少傷つくぞ」
「ごめんつい。なにか用かな、優等生君」
「飯田天哉だ、足元がふらついているし顔も真っ赤だぞ。リカバリーガールに治してもらわないのか?」
「ただの知恵熱みたいなもんなんで大丈夫…、ぅわっ」
道路の亀裂に足を取られ倒れそうになる。しかし、飯田が彩希の肩を掴み態勢を立て直させた。
「…へぇ、優しいんだね、ありがとう」
「当たり前のことをしているだけだ、それに君に聞きたいことがある」
「何だい、飯田君」
「…君は、君とあの彼はこの試験の構造を理解したうえであの女子を助けたと?」
構造、という言葉に首を傾げ数秒間思考を巡らし、あぁなるほど、と口にする。
「彼の考えは知らないけど、自分が対処できると思ったらアレに飛び込んだだけだよ。結果はまぁ、このざまだけどね」
外傷は一切ないが、"個性"の使い過ぎによる発熱で足取りがおぼつかない。それでもひとりで歩こうと、彩希は飯田から距離を取る。
「後はまぁ、ポリシーかな」
「ポリシー?君の?」
「そう、女の子には優しくしないとね」
ポケットから飴を取り出し口に含み、どこか色気めいた挑発的な笑みを見せた。
「ずっと思っていだんだが、君の"個性"はその飴に関係あるのか?」
「いいや、これは私が好きなだけだよ」
See You.と発音よく、飯田を背に手を振り演習場を後にする。
「……名前を聞きそびれてしまったな。ん?彼は今『私』と言ってたか???」
更なる疑問だけが飯田の頭に残った。