第4章 衝撃と終劇
思わず彩希は少年から手を離し、多少衝撃はあれど無事着地した。
「解、除っ」
顔を青くした女子がぴたりと両手の指を合わせれば、浮いていた少年も彼女の乗っていた部品も地面に落ちる。そして限界に来たのだろう、隠す気力もなくその場で吐瀉物をまき散らした。
「ぐっううぅぅゔゔゔっ!!!」
折れた両足と右手の痛みに呻く少年。
それでも何とか涙を流しながら意識を保ちつつ、うつ伏せになりながら自身を助けた女子と、隣で膝をついている彩希を見上げる。
「良かった…!」
自分の怪我の方が重傷であろうに、彼は、その少年は助けようとした二人の安否を確認した。
「せめて…!1ポイントでも…!!」
四肢の中で唯一動く左手で這いずるが、もう時間はないに等しい。
「安心するには早いよ」
「!?」
隣にいた彩希の言葉に驚く。彩希は膝はついているが上体は起こし、片腕を天高くかざしている。見れば顔色が少し赤く息が荒い。
少年が彩希の更に上を見れば、彼自身が吹き飛ばした"ギミック"の残骸が空中に留まっておりそれに驚愕する。
「な、なに、を…!?」
「ちょっと、黙って…」
天にかざした手を握りこめば、残骸は彩希の上空に収束し、更に凝縮する。
歪な金属音を立てながらそれはひとつのまとまりになり、ゆっくりと安全な場所に降ろされた。
『終了~~~~!!!!』
プレゼント・マイクの声が演習場全体に響き渡る。それがスイッチだったかのように更に涙を溢れさせ、少年は意識を手放した。
「…まだ生きてるよね」
彩希は少年の首に手をあて脈を確認すると、正常な人間よりも脈は乱れていたがその鼓動は確かにあった。
近くに落ちているガラス片を拾い、掌に傷をつける。痛みに顔を歪めるが、傷口から滲む血を少年の折れた右腕に垂らした。