第3章 後編
レイヴスは話を一通り聞き終わり、まさか理由が女だとは思わず、暫く唖然としていた。
彼と一緒に過ごしていた期間は長くないが、そんな一面、微塵も見たことがなかったのだ。
確かに女から寄ってくることはあるが、あの飄々とした態度でのらりくらりと交わすだけで、それ以上のことは聞いたことがない。
更にここ最近、一般兵と恋仲であるという噂を耳にしたことがあるし、実際に二人を見かけたことがあるが、そんな甘々しい雰囲気ではなかった。
レイヴスはため息を吐いた。
アーデンの私情を掘り下げる気はないし、興味もない。
かといって断るにも、皇帝の許可は既に得ているとのことで、逃げ道がなかった。
暫くお互い、主にレイヴスが睨みあっていたが、最終的には受け入れるしかなかった。
「この仮はいつか返してもらうぞ」
レイヴスは恨めしそうにそう呟くと、アーデンの書類に目を通した。
アーデンの立場上、他に適任者がいるとも思えない。
当然レイヴスの立場もアーデンとは真逆なので、適任者とは言えないが、帝国のことを知ってて尚且つ頼みやすそうなのがレイヴスだったのだろう。
「帝国のNo2になれるからそんなに怒らなくていいじゃん」
アーデンは呑気にそんなことを言っていた。
そもそもレイヴスも帝国に残る必要はなくなったのではないかと思えてきたが、ここでそれを言って揉めても、アーデンに勝てるとは思えなかったので、諦めるしかなかった。
そして3日後、アーデンの要領がいいのか、レイヴスの呑み込みが早かったのかは分からないが、本当に仕事の引継ぎが終わったのだった。