第3章 後編
そして、そんな穏やかな時間が流れてから数か月経った頃、ユーリから少しの間、旅に出たいと相談があった。
話を聞くと、やることもないし、気分転換に暫くその辺を観光してくるとのことだ。
やることがないといっても、帝国宰相の補佐という謎の肩書きの元、アーデンを手伝うこともあるが、正直いてもいなくてもどっちでもよさそうである。
しかもタイミングよく、隣国で王女の誕生祭が盛大に開かれるらしく、ここで暇を持て余すくらいなら遊びに行きたいのだろう。
旅に出る期間的には1カ月もないが、アーデンは結構渋った。
ユーリは強いし、心配することは何もないが、ただ単にアーデンが1カ月も離れたくなかったのである。
かといって、帝国を1カ月も不在にするのも不可能であり、暫く彼は悩んでいた。
因みにユーリは、しれっと旅に出る準備を進めており、何時いなくなってもおかしくない状況だった。
そしてアーデンは、こういったことが今後も起きるなら、いっそのこと仕事を辞めてしまおうかという結論にまで至った。
そもそもアーデンが帝国にいる理由はもうなくなったので、今までは何となくまだその地位にいたが、正直これ以上ここにいる必要はないんじゃないかと、そう思えてきたのだ。
因みに金銭面は、帝国宰相としての地位を確立していたくらいだから、一生遊んで生きていけるくらいは持っている。
しかし、アーデンの地位は帝国宰相の域を超えるくらいあると言われているため、そんなすぐに辞めれるわけはない。
だが、ユーリに後どれくらいで出発するのか聞くと、誕生祭が3日後から始まるから、そのくらいに出発すると言うので、強硬手段に出たのだ。
因みにイドラ皇帝には、半ば脅す形で既に許可を貰っている。
イドラ皇帝からしても、アーデンがいなくなるのは避けたいが、彼が長く貢献してくれた事実と、怖さを知っているので、許可を出さざるを得なかった。
彼が本気を出せば、帝国など簡単に壊せるのだから。