第3章 後編
遡ること数日前。
世界は平和になり、ユーリとアーデンは帝国で以前と同じように暮していた。
二人が恋仲という事実は今も変わりなく続いており、偶に言い合いのようなことをしているようだが、基本的には仲良くしていた。
あの後、アーデンは人間に戻り、当初は色々あってその事実を忘れていたようだが、久しぶりに感じた空腹と眠気に違和感を覚え、そう時間が経たない内に人間に戻ったことを実感したようだった。
アーデンは食欲が戻ると、ユーリと一緒によく外食に出掛けていた。
最初こそは小食かと思われる量しか食べていなかったが、次第に、あの長身と体格を保つくらいの量を食べるようになった。
そんなアーデンを見てユーリは、何か言いたげな視線を送っていた。
「…だいぶお年を召していると思ったので、胃もたれを心配しているんです」
そして実際に問いただしてみると、相変わらず失礼な言葉が返ってきた。
確かに数千年生きているが、肉体的には30代で止まっているはずだ。しかも、それを言うならユーリの方が年を取っていることになる。
そう、喉まで出かかった突っ込みをアーデンは飲み込むと、大人の余裕を見せるように笑って流すだけに留まった。
そんな彼をユーリは不思議そうに見ていたが、それ以上余計なことは言わなかった。
あの一件後、アーデンのユーリに対する態度は、日に日に甘さを増していった。
彼女の軽口に言い返すこともあるが、基本的には穏やかに接していた。
そんな彼に最初こそは警戒していたユーリだが、一緒に過ごしていくうちに、これが本来の彼の姿かもしれないと思うようになり、まだ慣れないところもあるが、次第に気にしなくなっていった。