第2章 中編
ユーリの歌声は静かに闇の中に響いて行った。
破滅の歌といっても、歌そのものはとても美しく、今から破壊が起こるとは思えなかった。
アーデンは周囲を警戒しながらユーリの腰に手を回し、しっかりと掴んだ。
これからの衝撃がどんなものか分からないが、ユーリだけは離すわけにはいかなかった。
そんな二人を先代の王達も見守っていたが、ふと、王達が消えた。
そして程なくして、何かが割れる大きな音が響き渡り、空間に沢山の亀裂が走った。
ユーリは横目でそれを見るが、一切怯むことなく歌い続ける。
亀裂は次第に大きくなり、ついには空間が大きく揺れた。
ユーリはバランスを崩したが、アーデンが支えてくれていたことで大事には至らず、引き続き歌い続ける。
そしてどれくらい経っただろうか。
大きな地響きとともに、2人は闇に呑まれていった。
アーデンは突然ユーリの感覚がなくなったことに焦り、周囲を見渡すが、音は一切聞こえず、闇の中で何も見えないはずなのに、空間の亀裂だけははっきりと見えるという、不気味な感覚に陥った。
「…っ!」
アーデンは言葉にならない声でユーリを呼んだ。
音も光もないこの空間で、彼は久しぶり恐怖という感情を味わった。