第2章 中編
「ちょっと、勝手に始めないでよ。死んだらどうするの?」
「今まで散々私を殺しかけておいて、今更なんの心配をしてるんですか」
「いやいや誤解を生む言い方しないでよ。そもそもオレの方が最初殺されたじゃん」
「あれはアーデンが勝手に望んで、私は無理やり付き合わされたのですよ」
「…そうだとしても、その後…って今はそんなことどうでもよくて。歌って前聞いた歌と違う歌?その歌を歌ったらユーリはどうなるの?」
「気分が高揚してハイになりますね」
「嘘でしょそれ。歌手でもあるまいし」
全然先に進まないユーリの言葉に、アーデンの眉間に皺がよってきた。そしてそのことに気づいたユーリは、流石に空気を読み、歌の詳細を話し始めた。
代々伝わるこの破滅の歌は、あらゆる不浄なものを破壊し再生することができるが、何を不浄とするかは曖昧なところがあり、ある意味博打のようなものである。
しかも破壊してから再生までの間、ユーリを中心に破壊した闇に囚われる可能性があり、再生まで持ち堪える必要があった。
外への世界の影響は、クリスタル内で行われることだから、大丈夫と思うことにした。
後は先代の王達もいるので、破壊した瞬間の負のエネルギーを極力少なくし、ユーリ達への影響を最小限にしてくれるはずである。
「…はぁ、オレは曖昧なまま物事を進めない主義なんだけど」
「ここにきて帝国宰相である設定を持ってこなくていいですから。ということでウジウジしてても始まらないので、歌い始めますね」
ユーリの言葉にアーデンは突っ込みを入れたかったが、ユーリがさっさとアーデンの手を外して歌い始めてしまったので、いい加減腹を括ることにした。
彼女は命の保証がないのにこの星のためにやりとげようとしてる。
そんな彼女を引き止めることはできなった。
だからせめて、最後のその時までそばにいようと思ったのだ。